南海トラフ巨大地震とは|想定被害・死者数・発生確率を最新データで解説

南海トラフ巨大地震による市町村別の最大震度、最大津波高、津波到達時間を示した想定マップ
出典:朝日新聞
南海トラフ巨大地震とは、日本全体に甚大な被害をもたらすと想定されている超巨大地震です。
政府の最新想定をもとに、死者数・津波被害・建物倒壊・経済損失・発生確率など、全国規模で想定されている影響をわかりやすく解説します。

南海トラフ巨大地震とは

フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込むことで、長期間ひずみが蓄積され、マグニチュード8〜9クラスの地震が発生すると考えられています。
過去には
⇒1707年 宝永地震(M8.6 最大震度6強相当)
⇒1854年 安政東海・南海地震(M8.4 最大震度6強相当)
⇒1944年 昭和東南海地震(M7.9 当時の震度階で最大震度6)
⇒1946年 昭和南海地震(M8.0 当時の震度階で最大震度6)
などが発生しており、100〜150年程度の間隔で周期的に繰り返されてきた巨大地震です。

発生確率|30年以内に60~90%程度以上

政府の地震調査研究推進本部によると、
今後30年以内に南海トラフ巨大地震が発生する確率は60~90%程度以上とされています。
これは「可能性がある」というレベルではなく、統計的に見て極めて切迫した状態であることを意味します。

想定されている被害規模

死者・避難者
最大死者数:約29万8千人
津波による死者:約21万5千人
避難者数:約1,230万人(日本の人口の約1割)
死因の多くは津波によるものとされており、
揺れそのものよりも「逃げ遅れ」が大きな要因になると想定されています。
建物被害
揺れによる倒壊: 約131万棟。1981年以前の旧耐震基準の建物や、シロアリ・腐朽が進んだ木造住宅で特にリスクが高まります。
津波による全壊・流失: 約16.9万棟。沿岸部の建物が中心となります。
火災による焼失: 約75万棟。冬の夕方など風が強い条件下では、木造密集市街地で大規模な延焼が発生しやすくなります。
液状化による沈下・傾斜: 約11.5万〜13.4万棟。地盤が弱い埋立地などで、建物が大きく傾き居住困難になる可能性があります。
経済被害
南海トラフ地震による経済被害は、政府(中央防災会議)と専門家組織(土木学会)で算出方法や想定範囲が異なり、200兆円規模から1,400兆円超まで大きな幅があります。 
2025年に公表された最新の報告によれば、資産の直接被害だけでなく、長期的な経済活動への悪影響が極めて深刻であると予測されています。
政府(内閣府・中央防災会議)の想定約292兆2,000億円
建物やインフラなどの資産被害を主軸とした、発生直後の直接的な被害想定です。
土木学会の推計(長期影響含む)約1,466兆円
発生から約20年間にわたるGDP(国内総生産)の減少などの「経済被害」を合算した数値です。政府想定の5倍以上となる甚大な規模が指摘されています。

なぜ南海トラフ地震は被害が大きくなるのか

1. 震源域が極めて広く、影響が日本全域に及ぶ
同時発生のリスク: この広大なエリアが一度に動く「全割れ」が起きると、関東から九州までの広い範囲で同時に震度6弱〜7の激しい揺れに見舞われます。
長時間続く揺れ: 震源域が広いため、地震の揺れそのものが数分間にわたって長く続き、建物へのダメージが蓄積しやすくなります。
2. 津波の到達が非常に早く、逃げる時間が短い
最短数分での到達: 地域によっては地震の揺れが収まる前、わずか数分で10メートルを超えるような巨大津波が押し寄せると予測されています。
避難の困難さ: 九州から関東にかけての太平洋沿岸部には人口密集地が多く、短時間での避難が物理的に困難なエリアが多数存在します。
3. 日本の「心臓部」が壊滅的な打撃を受ける
・サプライチェーンの寸断: 中京圏(自動車・機械)や近畿圏の製造拠点が被災することで、全国の工場がストップします。
・大動脈の停止::東名・新東名高速や東海道新幹線などの主要インフラが寸断され、物流が長期にわたり麻痺します。
・天文学的な経済損失:先にも述べましたが、2025年6月の土木学会の推計では、今後20年間の経済的損失は約1,466兆円に達するとされており、これは国家予算やGDPを遥かに上回る規模です。

内閣府の南海トラフ地震のシミュレーション

南海トラフ巨大地震は、日本列島の広い範囲で同時に被害が発生する可能性が指摘されており、
社会・経済・暮らしのあらゆる面に長期的な影響を与えると想定されています。
被害規模を考えるとこれは一地域の問題ではなく、日本全体で向き合うべき日本の国難として捉える必要があります。
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